日本を代表する時計メーカー「SEIKO(セイコー)」は、その技術の高さから国内問わず多くの国でも有名です。初めは小さな時計工務店でしたが、今では世界の時計メーカーに並ぶ技術を持った歴史あるブランドです。
世界初の水晶腕時計「クオーツアストロン」を発売してから、世界の時計ブランドに並ぶ実力を持った「SEIKO」の近代の歴史についてご紹介させて頂きます。
目次
SEIKOの歩み
時計の歴史を変えた「クォーツショック」
SEIKOの歴史を話す上で、「クォーツショック」は欠かす事のできないものです。1969年に初めてクォーツ時計が発売したことをきっかけに、時計業界が大きく揺れ動いた現象です。
現代では当たり前に「クォーツ時計」が使われていますが、この”クォーツ”の技術を開発したのが、SEIKOです。
電池で動く時計=”クォーツ”ですが、この名称の”クォーツ”とは水晶に電圧をかけることで時間の精度を高める技術のことです。この「クォーツ時計」の開発に各国の大手時計メーカーが研究を重ねていましたが、いち早く開発に成功し、販売を開始したのがSEIKO社でした。
1969年、SEIKOは世界初の「クォーツ腕時計」に「アストロン35SQ」に名付け販売を開始すると時計業界を一変させる大事件でした。機械式時計よりも安価で量産することが可能になり、これにより、スイスの時計業界は壊滅的な打撃を受ける事となりました。
この影響は1980年代後半にまで続き、「クォーツ腕時計」の発表がいかに時計業界に影響を与えたのか分かりますね。
これを世界では「クォーツショック」と呼び一部のメーカーからは少し不満の声が上がった出来事でしたが、時計業界の転機でもありました。
現代ではこのSEIKOが生み出した技術を参考にして作られていますので、SEIKO社が時計メーカーのトップに追いついた素晴らしい出来事としてと伝えられています。
大きな話題を呼んだデジタルウォッチ
1973年にSEIKOが発表したのが、「クオーツLC V.F.A. 06LC」。この時計は世界初の6桁液晶表示デジタル腕時計です。
1970年代初頭、”LED”の開発によって時刻をデジタルで表示する腕時計が様々なメーカーで出始めました。
SEIKOもこの流行にいち早く感付きましたが、この頃の”LED”は電力消費が激しいデメリットがありました。
そこで、”LED”よりも省電力で視認性に優れた”LCD”の開発に着手しました。そしてLEDの開発の数年後に”LCD”を使った腕時計の販売に成功したのです。
「セイコー クオーツLC V.F.A. 06LC」は、時・分・秒を常時表示できる画期的なデジタルウォッチとして話題を集めたモデルです。
”LCD”を活用したことによって、稼働時間は約50,000時間に増え、さらにコントラストがはっきりした液晶を搭載し、暗い中でも時間を確認できるよう照明ランプも備えています。
機能性もさることながら、普段使用する中でちょっとした気遣いを感じる事のできる「クオーツLC」は、次世代のクオーツと呼ばれるに値するモデルなのです。
歴史的モデルの発表
水中でも稼働する「クオーツ防水ダイバーズ」
SEIKOは世界初の「クォーツ時計」を開発し、その後クォーツを使用したデジタルウォッチを発表しました。「クォーツ時計」=「SEIKO」と名が広まった所に、SEIKOは新たなモデルを発表します。
それが、1978年に発売された”150防水のダイバーズウオッチ”です。ダイバーが使用するウエットスーツや機材などに時計が引っ掛かる事の無いよう、全体的に丸みを帯びたケースになっています。
この最大の特徴である丸みのある形状から、まるで亀の甲羅のようだと言われるようになり「タートル(=海亀)」という愛称でファン呼ばれるようになりました。
ダイバーズウオッチに搭載されたダイヤルのインデックスは、【6時・9時・12時】は認識しやすいように台形のインデックスを使用し海中での判読性を高めています。
海水が時計内部に入ることの無いよう、4時位置のねじロック式竜頭(りゅうず)は前のモデルよりも強固に固定できるようになり高い防水性を生み出しました。そして、世界初のクオーツ式飽和潜水仕様の600m防水ダイバーズ誕生したのです。
永遠を追求した「クォーツ腕時計」
SEIKOの技術は世界で認められる程になってきました。SEIKOの生み出した「クォーツ時計」は世界のクォーツ時計の指標になるほどになりましたが、SEIKOは「クォーツ時計」のデメリットに着目しました。
「クォーツ時計」は、機械時計に比べメンテナンスが簡単で費用も抑えられる事でメリットは多くあります。しかし電池切れなどで電池を変える手間がありました。
機械時計のメンテナンスは一般的に3〜5年に対してクォーツ時計は電池が切れるたびにメンテナンスが必須だったのです。
このデメリットを払拭したのが、1999年発表の「スプリングドライブ」です。今までにない、機械式時計の動力とクオーツ式時計の制御システムを組み合わせたハイブリッド型のムーブメントになっています。
自動巻きムーブメントなのにクォーツ並みの±1秒以内という高精度を生み出した「スプリングドライブ」は時計界隈で大きな話題となりました。
ゼンマイを巻いた後、ほどける力を動力源として発電した電力はクォーツを振動させ時計の進みを一定に保つ仕組みです。
ゼンマイを動力源としているため、電池交換やモーターが不要で、メンテナンスをすれば半永久的に使用できます。また、クォーツ式時計では採用が難しかった太く重厚な針やクロノグラフ針、GMT針なども使用でき、デザインの可能性が広がりました。
二つのブランドの独立へ
世界に挑戦する「GRAND SEIKO(グランドセイコー)」
当時高級時計といえばスイス製が代名詞であった時代、「世界に挑戦する国産最高級の腕時計をつくる」という志のもと、SEIKOで今まで培ってきた技術とアイディアを集結させたのが「GRAND SEIKO(グランドセイコー)」です。
1960年「初代グランドセイコー」は、80ミクロンの14Kの金張り仕様で発売価格は25,000円。当時の上級国家公務員の初任給が12,000円であったことから、今までのSEIKOの時計から驚く程の価格でした。
SEIKO「クラウン」をベースに作られた当モデルは、国産では初めて【スイス・クロノメーター検査基準優秀級規格】に準拠したモデルとして発売されたのです。その為、当時では中々簡単に手を出しにくい価格であったのにも関わらず購入者は多かったそうです。
初代グランドセイコーは、1960年から1963年の3年間だけ製造された非常に希少なモデルです。その中でも「前期型、中期型、後期型」にデザインが分かれており、違いを楽しむことができた時計でした。
海外でも「GRAND SEIKO(グランドセイコー)」の名が広まってきた頃、SEIKOはグランドセイコーの独立ブランド化を決定。これによって、グローバル化とラグジュアリー化を加速し本格的な高級ブランドとして再出発したのです。
余談になりますが、この「GRAND SEIKO(グランドセイコー)」を愛用している著名人は多く、最近では大谷翔平選手が愛用していることで有名です。
2023年のWBC開催時には、大谷選手がヌートバー選手に“GRAND SEIKO(グランドセイコー)エボリューション9 コレクション SLGH005”をプレゼントしたことで大きな話題を呼びました。美しい白樺林を表現した文字盤と輝く青い秒針が特徴です。
海外でもこのニュースは大きな話題となり、GRAND SEIKO(グランドセイコー)が国内だけではなく海外にも浸透していることが分かりますね。
世界の高級品に「CRET D‘OR(クレドール)」
SEIKOのモデルは数多くありますが、その中でもは別次元の時計とも言えるでしょう。1974年に誕生した「CRET D‘OR(クレドール)」は、腕時計の品質や性能で世界のトップレベルに達した1960年代末より、世の中で高まる高級品の需要に応えるため生まれたモデルです。
貴金属や宝飾品を用いた高級腕時計なだけあって、「CRET D’OR」とは「黄金の頂」の意味を持ちます。
1982年に発表された「CRET D‘OR」は、時計の風防に合計6.27ctのダイヤモンドを使用し、ブレスレットにも総数507個(合計28.5ct)のダイヤモンドを配置したジュエリーウォッチになっています。
なんと価格は2億2000万円という世界のジュエリーウォッチの頂点と呼ぶに相応しいものでした。現代ではダイヤモンドの価格も上昇していますので、さらに高額な価格になっている可能性があります。
このモデル以外にも貴金属を使用したものや、美しいデザインの物が多く人気の高いシリーズでした。その後、2017年に独立したグランドセイコーに続きSEIKOの支える二つ目の柱として、独立ブランド化を決定しました。
現代でもSEIKOを代表するモデルとして多くの人に愛される時計です。
まとめ
日本国内だけではなく、海外からも高い指示を得ているSEIKO(セイコー)は長い歴史の中多くの偉業を成し遂げてきたブランドです。その名の通り「精巧で正確な時計」を作り続けるSEIKO(セイコー)は、世界的に見てもその精密さ・精巧さには定評があり、技術面も高く評価されています。
現代では携帯の普及によりいつでも簡単に時刻を確認することができ、腕時計の需要は減っているように思えるかもしれません。しかし、そんな時代だからこそ高級時計を求める人が増えてきています。
時計は時刻を見るだけではなく、現代ではファッションやステータスの一部と考えられていますので、その需要は減ることはありません。
買取おりづるでは、今回紹介させて頂いたSEIKOの買取を強化しております。SEIKOは国内だけでなく海外からの人気も高いので、値崩れがしにくいブランドです。
買い替えのタイミングや、使わずに保管しているSEIKOがある場合は、一度お値段を調べて見るのも良いかもしれません。
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