食器ブランドを詳しく知らないという方でも高級用食器ブランド「Meissen(マイセン)」を聞いた事があるかと思います。ドイツを代表する洋食器ブランドマイセンは、300年以上の歴史を持った洋食器ブランドで、現在でも非常に人気のある洋食器でもあります。
「マイセンの名前を聞いたことがあるけど、マイセンのブランドはよく知らない」そんなみなさんに、今回は鑑定士がマイセンの歴史や人気コレクションについてご紹介をしていきたいと思います。売却の際の参考にしてみてくださいね。
マイセンの歴史
錬金術とマイセン

ドイツを代表する食器ブランド【Meissen(マイセン)】。ヨーロッパで初めて硬質磁器の製造に成功した歴史を持っており、世界三大食器ブランドに一つとして数えられております。
2本の剣を交差させた「青い双剣」のマークがブランドの象徴で白磁に青い染付を行った美しいデザインは他ブランドに負けない魅力を持っています。
さて、このマイセンが生まれるきっかけとなったのが、日本の伊万里焼(いまりやき)と言われています。伊万里焼は白く美しく輝く美しさと華やかな絵付けが特徴で、1616年頃に有田で誕生した焼き物です。
日本では当たり前に流通していた焼き物になりますが、同時期のヨーロッパでは硬く艶やかな硬質磁器を作り出す事ができないものでしたので、列国の王侯貴族、事業家たちは日本の伊万里焼などを大量に購入したり、製法を見つけようとしていました。
中でもドイツのザクセン選帝侯アウグスト強王は、東洋磁器をこよなく愛していた人物であり、自身の兵士600人とプロイセン王国の君主が所有していた東洋磁器の壺151個を交換したという逸話も伝わっています。そんな彼は東洋磁器を愛すあまりに、一人の男性を監禁します。
その男性こそがマイセンの歴史を飛躍的に進めることになった”錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガー”です(ベトガー弱冠23歳)。
その頃、ヨーロッパでは錬金術が盛んに行われており、ヨハンも錬金術に心を奪われた一人で「錬金術師の自分にはなんでも作り出す事ができる」と豪語してたのです。それに目をつけたアウグスト強王は「なんでも作り出せるなら東洋磁器を作り出せ」と命令しました。
艱難辛苦の末、ベトガーは1708年にようやく磁器に近いものを作り上げ、翌年には白磁製法を解明、そして1710年にヨーロッパ初の硬質磁器窯「Meissen(マイセン)」が誕生しました。
輝かしい功績を残したヨハンですが、ノウハウが他国にもれることを恐れた強王によって引き続き軟禁され続け精神的重圧からの酒の飲み過ぎなどによって37歳の若さでこの世を去りました。
高貴なマイセン磁器の誕生の影に権力に泣いた犠牲者がいたことを忘れてはならないと、ドレスデンの公園にはベトガーの記念碑が建っています。
マイセンは現代でも職人による手描きの絵付が最大の特徴で、現在も伝統的な技法が守られています。白磁に青い染付の「ブルーオニオン」や、可憐な「波の戯れ」などはマイセンを代表するコレクションになります。
マイセンの食器は美しく高品質なものが多いですが、職人の手書きによる絵付けの伝統によって大量生産ができず、希少なアイテムな事がわかります。
それゆえに中古市場では使用済みのものであっても非常に高価な価格で取引をされている場合が多いです。不要になってしまったマイセンは処分してしまう前にぜひご相談ください。
日本の絵付けを目指して

ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーが亡くなった1719年、アウグスト強王はドレスデンの「日本宮殿」用に古伊万里などの日本磁器を特別注文をしてきました。
マイセンは日本や東洋風の絵付けを目指す為にドイツの隣にあるウィーンよりマイセンの絵付師として”ヘロルト”が招かれました。
ヘロルトは、白磁にオレンジ色を主体とした東洋風の花やつるなどを美しいデザインを多く生み出しました。また強王が非常によく気に入っていた柿右衛門の色磁器の写し(模倣品)なども手がけたのです。
柿右衛門の色磁磁器は、江戸時代初期に”酒井田柿右衛門(さかいだ かきえもん)”によって確立された有田焼の様式で、乳白色の素地に、赤・緑・黄・青などの鮮やかな色絵を施した特徴を持っています。
ヨハンが招かれた2年後、アウグスト強王の紋章の2本の剣を交差させた双剣をマイセンの窯印として使う事が許され、現代でも使われているマイセンのブランドマークが誕生しました。
ちなみにこの双剣のマークはシュヴェルトラー(男性)シュヴェルトレリン(女性)と呼ばれるマイセンの専門絵付け師のみが描く事ができるマークになります。
剣のマークはプリントではなく、専門絵付け師達が手描きしていますので、アイテムによって若干の違いが見られる楽しみもあります。
1724年になるとヘロルトは宮殿御用達の絵付け師に任命されると、彼は磁器の絵の具を作ることに成功し当時ヨーロッパで流行していたシノワズリー(中国趣味)の文様や西洋的風景を多彩に描きました。
繊細な彼の絵付けはマイセンの絵付けの基本となり現代でも受け継がれております。現代でもマイセンはドラゴンや唐草模様などの中国風の絵柄が多い理由です。
マイセンの伝統的なデザイン
名作「ブルーオニオン」の誕生

1739年マイセンの絵付け師クレッチマーが中国写しの染付の技法を生かして完成させた「ブルーオニオン(青い玉ネギ模様)」を生み出しました。
彼は呉須(ごす)を使った中国染料技法を参考にし、白磁にコバルトブルーの絵付けのデザインを完成させました。
呉須は主に酸化コバルトを主成分とする、陶磁器の下絵付けに用いられる藍色の伝統的な絵具でコバルトブルー(藍色)の絵付けは高貴な雰囲気を感じる事ができます。
マイセンの中でも特に人気の高い「ブルーオニオン」ですが、何故玉ねぎ?と思った方も多いのではないでしょうか?この呼称は、柘榴(ザクロ)を玉ネギと間違えたため、という説明が定説になっています。
マイセンは中国のデザインに非常に影響を受けたと言われており、中国伝来のおめでたい「象徴」などを多くデザインに組み入れております。
中国では「長寿」や「繁栄」を意味する【桃、竹、蓮、ザクロ】のデザインが人気で様々な陶磁器に使用されていました。
マイセンもこのデザインを真似ようと写実的に描かれた柘榴でしたが、ヨーロッパでは柘榴は見慣れぬ果物であった為、多くの人が「青い…玉ねぎ?」と勘違いしてしまったのです。
現代では勘違いから生まれてしまった名称に影響を受け見慣れぬ果物は馴染み深い玉ネギに姿を変え、桃のような果物、そして竹がバランスよく配置されることになりました。
勘違いから生まれたデザインですが、約300年近く愛され続ける名作となり現在ではマイセンといえばブルーオニオンとまで言われるようになったのです。
スノーボール

名作「ブルーオニオン」が生まれた1739年の同時期に生まれた「スノーボール装飾」。
マイセンの伝統的な立体貼花装飾(磁器の表面に花や葉の磁器片を手作業で貼り付ける技法)で、白いガマズミの花をモチーフが特徴になっております。
スノーボールは英語で「雪の玉」という意味のほかに「ガマズミの花」を意味しています。
スノーボール装飾は、アウグスト強王の息子、アウグスト3世が最愛の王妃、”マリア・ヨゼファ”へ「枯れない花を贈りたい」という願いから誕生しました。
花の美しいレリーフはまさに白磁に咲く枯れない花で、上品で優雅なデザインは瞬く間に人気のデザインへとなったのです。
スノーボールの名称で人気になったコレクションですが、2017年に現代の食卓向けのレリーフ(浮き彫り)として再解釈した新しいデザイン「ロイヤルブロッサム」が登場しました。
ロイヤルブロッサムシリーズは美しい白陶磁器が特徴でシンプルで優美なデザインが非常に人気の高いコレクションになります。
プレートであれば1万円ちょっとの価格で購入する事ができ、人気のアイテムティーカップ&ソーサーであっても1万5千円で購入する事ができます。
ブルーオニオンのティーカップ&ソーサーは3万円以上する事から、マイセンの中でも比較的購入しやすいコレクションです。
中古市場でもロイヤルブロッサムシリーズは人気のコレクションになっておりますので、こちらも処分してしまう前に一度ご相談をしてみてください。
インドの華

マイセンのシノワズリ(東洋趣味)を代表する、歴史ある絵付けシリーズ「インドの華」。
美しい草花の模様が特徴のコレクションになっており、描き込みのの量によってランクに分かれる、マイセンの中でも珍しいコレクションになっております。
インドの華は元々”日本の有田焼”特に「柿右衛門様式」に見られる余白の美や草花文様を、マイセン流にアレンジしたものと言われています。
日本を参考にしたのになぜ「インド」?と思った方が多いかもしれません。
これは当時、東洋からの磁器は東インド会社の船で運ばれてきたため、ヨーロッパの人々はそれらを一括りに「インドのもの」と呼んでいました。
その為、現在でも「インドの華」と言われ、海外ではとても人気のコレクションとして知られているのです。
さて、このインドの華には描き込みの量によって主に2つのランクがあります。それが「リッチ」と「枝付き」と言われる物です。
リッチ
インドの華の中でも特に豪華で描き込みの量が多いデザインになります。金彩で美しく彩られたデザインは、「枝付き」よりも華やかにテーブルを彩る事でしょう。
器の縁やカップの中にまでしっかりと模様が描かれており華美なデザインは特に人気です。売却する場合もリッチの方が高値がつきやすく、中古市場でも多く取引をされているものになります。
枝付き
リッチに比べて描き込みが控えめで、よりシンプルで上品な印象を与えます。マグカップなどにも採用される事の多い枝付きは普段使いにもぴったりなコレクションになります。
中古市場ではリッチに比べてしまうと取引価格は低く感じてしまうかもしれませんが、シンプルなデザインが好きな方に非常によく好まれるデザインになりますので、一定以上の需要はございます。
インドの華は豊富なカラーバリエーションがある点も人気です。最も定番で安定の人気がある”グリーン”、女性からの人気が非常に高い華やかで愛らしい”ピンク”、マイセンのブランドカラーでもある”ブルー”。
その他にもイエローやオレンジ、ブラックなど、色によっても受ける印象が大きく変わります。誕生以来マイセンの最高技術と東洋への憧れが融合した「インドの華」は、現在でも永遠の定番として愛され続けているのです。
まとめ
今回はドイツを代表する「Meissen(マイセン)」についてご紹介をさせていただきました。マイセンは洋食器コレクターなどに非常に人気のブランドとして知られており、中古市場でも非常によく取引をされているブランドになります。
人気の「ブルーオニオン」をはじめ、「スノーボール」「インドの華」など様々なコレクションを展開し続けているマイセンは、創業当初から変わらない職人の手作業が特徴です。年代や書き手によっても風合いが微妙に変わってくるマイセンの魅力は尽きる事がありません。
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