近年では中々見なくなってしまった切手。遠くにいる相手でも簡単に話せるメールの普及や簡易的にメッセージをやり取りする時代になってから。少しづつ需要が下がってしまった切手です。しかし、現代においても切手のコレクターがいなくなることはなく高額に取引されている切手もございます。今回は日本の切手で高く売ることができる、「日本切手」をご紹介していきます。
目次
浮世絵を題材にしたプレミア切手
江戸の浮世絵「見返り美人」
皆さんも一度は目にしたことがある浮世絵、「見返り美人」。江戸時代前期の美人画であり、現在では東京国立博物館に寄贈されています。そんな見返り美人の切手は、1948年11月29日に発行されました。
この浮世絵を題材に作った切手は「見返り美人」が初めてだとされ、さらに、当時の高額取引高税印紙の目打型を利用した超大型切手として発行されました。
この見返り美人は現在までに3種類発行されています。1948年に発行された初期の見返り美人切手は、茶色一色の切手です。次に発行された1991年の見返り美人は、「郵便事業120周年記念切手」として発行されました。
茶色一色だった過去の見返り美人から、約40年経った事もあり、印刷技術が格段に上がっていましたのでフルカラーで発行されました。そして、1996年に再発行された見返り美人は茶色一色とフルカラーが4枚づつ計8枚綴られています。
最近では、2021年に「郵便創業150年切手帳」が発売され、和紙シールの「見返り美人」が発行されました。こちらは見返り美人の中でも一番額面の高い500円切手になっています。中古市場でもよく取引されているのは近年の見返り美人が多いです。
初期に発行された見返り美人はその中でも頭ひとつ抜けて高額でお取り引きされています。
この理由は、発行されてから長い年月が経ち現存している数が圧倒的に少ないこと、さらに現代の切手とは違い紙や糊の質が違い、保管が難しいことがこの見返り美人の希少価値をあげているのです。
「見返り美人」に続いた「月に雁」切手
江戸時代末期の浮世絵師が描いた「月に雁」日本の切手ブームの最中に発行された希少価値の高い切手です。1947年に初めて発行された特殊切手「切手趣味週間」は多くの人を切手の魅力に引き込みました。
1948年には「見返り美人」が発行され、その翌年1949年11月1日発行された「月に雁」は8円切手で、200万枚発行されました。見返り美人と同じく当時では珍しい縦長のデザインで、通常の切手よりも大きな切手です。
大きな満月(デザイン上では半月)に3羽の雁が飛び交わる姿が描かれています。この「月に雁」を描いたのは、江戸時代の浮世絵師「歌川広重」です。他には『東海道五十三次』などの作品が人気ですね。
人気の浮世絵師が描いた作品が「見返り美人」に続き切手になるということで多くの人に興味を引きました。
切手ブームが落ち着いた中、切手の需要は値下がり傾向にありますが、そんな中でも「月に雁」は中古市場でも多く取引をされています。
日本で初のカラー切手「ビードロを吹く娘」
「見返り美人」「月に雁」を発行してきた切手趣味週間シリーズの第5回目として発表されたのが、この「ビードロを吹く娘」です。1955年11月1日に発行されたこの切手は、北斎、広重に並び世界的に有名な「喜多川歌麿」が描いた浮世絵を題材にしています。
ビードロを吹く娘切手の発行当時は550万枚刷られています。見返り美人の発行数150万枚、月に雁の発行数200万枚に比べますと圧倒的に多い発行枚数ですが、コレクター以外の方は普通に郵便に使ってしまったりと現存数が少しづつ減ってきている切手です。
近年少しづつ希少価値が上がっているのは、浮世絵を題材にした日本独自の絵柄が海外の日本マニアのコレクターに大変人気が高いのです。
さらに「ビードロを吹く娘」の希少価値が高いのは、日本で初の4色を用いたカラー切手として発行された部分もポイントになります。「ビードロを吹く娘」額面は10円のみになっておりますが、通常に使用してしまうと10円の価値になってしまいますので、注意が必要です。
明治時代発行のプレミア切手
日本で初めての「竜文切手(りゅうもんきって)」
竜文切手は明治4年、新式郵便の開始と同時に発行された、日本で初めての切手です。名称にある通り、切手のデザインは竜が描かれており、額面の単位は「円」ではなく「文」です。
額面は「銭四十八文」「銭百文」「銭二百文」「銭五百文」の4種類。縦書きが印象的な切手です。この数字の読み間違えや、送料が足りないなどのミスを防ぐために、切手ごとに色を変えていました。
- 「銭四十八文」:茶色
- 「銭百文」:青色
- 「銭二百文」:赤色
- 「銭五百文」:緑色
この竜文切手がコレクターに人気の訳は、「日本で初めての切手」「日本が発行した中で最も最小」の二つの理由以外にも、現存数が極端に少ないことがあげられます。
明治時代に発行されてから150年以上経過している竜文切手は、”昭和の戦火の中で紛失してしまった”、”引き継ぐ人がおらずそのまま処分した “などの理由から中古市場には出回りにくい切手です。
その為、誰も持っていない切手を所有する名誉から、多くの人がこの切手を喉から手が出るほど欲しがっているのです。切手ブームが落ち着いてしまった現在でも、中古市場で見れる竜文切手には高額な価格がかけられています。
初めての記念切手「明治銀婚(めいじぎんこん)」
明治天皇の結婚25周年を祝して発行された。日本で初めての記念切手です。1894(明治27)年3月9日に発行されたこの切手は、記念切手として多くの人に興味を持たれました。額面は二銭、五銭の2種類です。
こちらも竜文切手と同じく色を分けて印刷がされています。
- 「二銭」:赤色
- 「五銭」:青色
余談ですが、「明治銀婚記念切手」は明治天皇・皇后の結婚25周年の祝典で記念として発行しましたが、当時の日本には切手はあったものの、記念に切手を発行するということはありませんでした。
しかし、祝典一ヶ月前に記念する切手を欲しいと頼んだ在留外国人の声から、急遽発行される事になったのです。通常デザインを1〜2ヶ月かける作業を、印刷局員総出で不眠不休で作業し、わずか5日で仕上げたそうです。
「明治銀婚記念切手」も「竜文切手」と同じく現存する数が少ない為、価格の上昇の原因になっています。通常の切手よりも2倍の大きさがあるので、パッと見ただけでわかりやすいデザインになっています。
プレミア切手を高額で売るには?
なるべく空気に触れさせない
切手の美しさを保つには、なるべく空気や外気に触れさせないことです。プレミア切手などの古い切手は、現在使われている切手とは違った糊が使われていました。
昔使用されていた切手の糊は、吸湿性が高く空気中の水分に反応します。これによって切手同士がくっついてしまったり劣化の原因になってしまいます。中には切手自体にカビやシミができてしまうことも。
保管の際は、そのまままとめて保管するのではなく、1枚1枚分けて保管しましょう。その際に、「マウント」と呼ばれる合成樹脂透明フィルムが2枚合わさったものに保管すると良いでしょう。
他にも「ヒンジ」と呼ばれる和紙に貼り付ける方法もありますが、裏の糊が剥がれてしまったり、切手の破損につながる場合もありますので注意が必要です。
水は厳禁!湿気にも注意!
切手は水が天敵です。水に濡れてしまうと切手の耐久度が下がってしまったり、貼る予定のない場所にくっついてしまったりと売買するときに価格が下がってしまう原因になります。特に、プレミア切手になりますと裏の糊の状態も査定対象になりますので、注意が必要です。
さらには、梅雨などの湿度が高くなる時期にも切手に注意しなければなりません。切手は湿度にも弱いので、コレクションブックや厚紙に挟むなど処置をしてなければ、湿気によって切手が丸まってしまうのです。
丸まってしまった切手ももちろん買取可能ですが、プレミア価値が失われてしまうこともありますので、しっかりと保管しましょう。
折れ、破れに注意!
プレミア切手の一番値が落ちてしまう原因は、折れや破れなどの破損が原因です。切手の中には、和紙で発行されたものや耐久度が低いものなどがありますので、少しの力で破れてしまったということはよくある話です。
さらには、目打ち(切手を切り取るための穴)を力任せに引っ張ってしまい、切手の破損につながってしまうといったこともあるでしょう。破れが心配な際は、そのまま店頭にお持ち込みすることをお勧めいたします。
また、切手の保管の際に折れたままコレクションブックに挟んだりしてしまうと、その形状が残ってしまいますので、真っ直ぐに伸ばした状態で保管しましょう。
まとめ
日本では1950年代後半から1960年代頃にかけて、切手ブームが起きました。世代問わず、多くの人が切手をコレクションし、新しい切手や限定の切手の発売日には朝から郵便局に長蛇の列ができるほどでした。
その中でも、最も人気の切手が「見返り美人」と「月に雁」でした。現在でもこの2枚はプレミア価格がつけられ、需要が高い傾向にあります。
切手のプレミア価格は、毎日変動します。さらには、状態などにもよって買取価格が決まります。使わないまま保管している際は、ぜひ買取おりづるで無料査定をご利用ください。
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