中国切手をご存知でしょうか?国内で使うことはありませんが、コレクターには人気の高い切手になります。歴史のある中国の美しい背景や日本で入手ができないといった理由で、その希少性が高まっています。今回は、中国切手の中でも特にプレミアが付く切手を紹介していきます。
目次
プレミアが付く動物モチーフ切手
赤が印象的な猿の切手「赤猿」
中国切手の中で最も知名度が高いと言われる「赤猿」。この「赤猿」は正式名称ではなく、本来の名称は「子猿」です。これは、1980年に発行された、中国初めての年賀切手になります。しかし、年賀切手の初の年賀切手だった為、発行枚数は少なく希少価値が高い切手です。
赤猿の発行当時の売れ行きはそこまで良くなく、なんと郵便局員がノルマを達成するために自身で購入しなければいけない程でした。その後、切手投資が注目され始め、発行枚数が少なく希少価値が高い「赤猿」が有名になったのです。
なんと、郵便局員がノルマ達成で大量購入した赤猿は、日本円で1億2500万円で売れたことがニュースになり、さらに知名度を上げました。
デザインは赤い背景に小猿が1匹座っています。小猿の毛並み1本1本丁寧に描かれており、表面には輝く金粉がまぶされています。この金粉は年月や保管方法によっては剥がれてしまうことがありますので、現在金粉がしっかりと残っている「赤猿」は高額でお取り引きされています。
赤猿が人気の理由は、発行枚数が少ないからという訳ではありません。中国では「赤」「猿」は縁起物として好かれています。この赤猿を持つことによって運気が上がるとされています。コレクターだけではなく多くの人が赤猿に興味を持ち価格の高騰につながったとされています。
丸いパンダが可愛らしい「オオパンダ」
中国の可愛らしい動物パンダの絵柄がかわいい切手、「オオパンダ」。赤猿とはまた違った可愛らしさがあるこの切手は、中国の文化大革命の時代に発行された中国切手です。1963年に発行されたものを「一次」10年後の1973年に発行されたものを「二次」に分けられています。
一次の大パンダは縦長と横長の二つのデザインになっています。
8分の縦型切手にはパンダが一匹、食事風景が描かれており、10分の横型切手にはパンダが二匹座っています。この一次の「オオパンダ」には幻の「目打ちなし(ミシン目がない)」切手があり、発行枚数も不明の切手です。切手の周りのギザギザがない場合、高額買取の期待ができます。
二次の「オオパンダ」は一次よりも多い6種類のデザインがあります。こちらは目打ちがあるものしか発行されていません。中古市場でもよく見られる「オオパンダ」は、この二次が圧倒的に多いです。4分と20分の切手には笹を食べる一匹のパンダが描かれており、その他の切手には二匹のパンダが描かれています。
一次の「オオパンダ」よりも、絵柄がふわっとしており、丸くかわいいパンダが描かれています。このパンダの絵がコレクターに大人気の中国切手になります。現代でも多くの「オオパンダ」が取引をされており、綺麗な状態ですとより高額で売買されています。
プレミアが付く花がモチーフ切手
美しい彩「牡丹シリーズ」1964年
中国の切手には美しい花が描かれる事が多くその中でも取り分け美しいのが、この「牡丹シリーズ切手」です。「オオパンダ」の翌年1964年に発行された中国切手になります。
元々牡丹は中国原産の花であり、遥か昔から上流階級の人々に愛されてきた花です。その牡丹が大衆にも愛されるようになった為、切手のデザインに採用する事になりました。
牡丹シリーズ切手の額面は、6種類あり額面は4分、8分、10分、20分、43分、52分に分けられています。
「牡丹シリーズ」の名前通り、どの切手にも美しく咲く牡丹が描かれております。牡丹の色は額面ごとに違い、全ての種類を集めるとまるで切手手帳が花畑になったようです。
赤猿や他のプレミア切手の価格に比べてしまうと、少し見劣りする部分もあるかと思いますが、この「牡丹シリーズ」の中国切手も非常に希少価値のある物です。中古市場で出回る事の多い「牡丹シリーズ」の多くは、その長い歴史の中で経年劣化が起こってしまっている場合が多いです。
しかし、【汚れやシミがない状態の良いもの】【全種類が集まっていること】によっては万単位でお取り引きをされている事が多いです。美しい花が揃った中国切手を見つけたときは、処分せずにご査定をお勧めいたします。
牡丹に負けない美しさ「雲南のツバキ」
遥か昔から、牡丹と椿の美しさは大衆を魅了してきましたが、その美しさは比べられるものではありません。1979年、牡丹シリーズの発行から15年後に発表されたのが、この「雲南のツバキ」です。
中国本土の美しい植物資源を広く宣伝する目的で発行されたのが「雲南のツバキ」です。全10種類の美しい花を見ることのできるデザインは、多くの人を魅了しました。その為、「牡丹シリーズ」とどちらが美しいのか度々論争になることも。
赤色や黄色、桃色とカラフルな色合いと大輪のデザインが特徴です。その上、額面によって発行枚数が違うといった特性を持っている為、お取引きプレミア価値が非常に高い中国切手ですので、見つかると夢のある切手ですね。をする際に、同じシリーズにも関わらず、切手それぞれお値段が違うといったこともあります。
「雲南のツバキ」は、全10種類ですが、その他に小型シートも同日発行されています。10種類の限定切手は、200万枚〜1,500万枚という発行枚数ですが、この小型シートの発行枚数は「25万枚」と非常に少ない発行枚数です。
額面が「2元」の大きな横長の切手に、桃色と赤色の椿が咲き誇っています。こちらは1枚だけで数万〜数十万でお取り引きをされている事が多く、「雲南のツバキ」シリーズの中で最も高額です。
より高額な中国切手
「全国の山河は赤一色」
中国の切手の中には、過去に大量に廃棄されてしまったものがあります。その理由には、「文化大革命」が関わってきます。
1966年から1976年まで起きたこの運動は、古い文物や歴史のある文化を破壊するといった思想があり、その間に多くの中国切手や中国の古美術品が破壊されました。個人で所有する切手もその対象となり、民間で集め燃やしてしまったそうです。
その「文化大革命」が起こった中で発行されたのが「全国の山河は赤一色」です。中国の人々が毛沢東が話した言葉の本(名言集ですね)を頭上に掲げ、切手の中央には真っ赤に彩られた中国本土が描かれるはずでした。
しかし、この切手のデザインを手がけたワン・ウェイシェン氏のミスによって、台湾だけが赤く塗られませんでした。このミスに気づいた中国政府はわずか半日で発行中止・販売してしまった中国切手の回収を行いました。
その為、「全国の山河は赤一色」の中国切手の現存数は遥かに低く、2009年の香港で4,300万円、2019年には9,100万円で落札されています。「そんなもの日本にあるわけが…」と思う方も多いかと思いますが、中国切手の現存するものには、日本や海外に渡り、切手のコレクターによって保管されているものが多いです。
プレミア価値が非常に高い中国切手ですので、見つかると夢のある切手ですね。
美しい舞台役者「梅蘭芳舞台芸術」
綺麗な容姿と京劇の女形で有名な「梅 蘭芳(メイ・ランファン)」が描かれた「梅蘭芳舞台芸術」。日本にも3度来日をしたことのある俳優です。中国切手でも有名な「梅蘭芳舞台芸術」は1962年に発行された中国切手です。
通常の切手(全8種完結)小型シート(1枚)の2種類が存在します。小型シートの「梅蘭芳舞台芸術」に描かれている絵は「貴妃酔酒の舞台」のワンシーンを題材にして作られています。
その幻想的な美しさから、創作の人物と思われてしまう事が多いですが、実際に演じていた舞台の場面です。
梅蘭芳が活躍した時代は、国内の内戦や侵略などが増え、人々は不安を抱えて暮らしていたのです。しかし、美しい女形の梅蘭芳の演劇を見ることができるのは、暗い世の中に差し込む光のように人々の癒しだったのです。梅蘭芳の活躍を是非とも切手にしようと発行された「梅蘭芳舞台芸術」ですが、発行枚数はそこまで多くなく購入できたのは僅かな人たちでした。
そんなプレミア切手の「梅蘭芳舞台芸術」ですが、残念な事に1966年から1976年までの「文化大革命」で処分されてしまった「梅蘭芳舞台芸術」もあるそうです。元々のプレミアもあいまって、現在では高額でお取り引きされています。
「少年たちよ子供の時から科学を愛そう」
1979年に発行された「少年たちよ子供の時から科学を愛そう」は小型切手シート1種類、バラ切手全6種類が発行されました。「文化大革命」が終わり、中国では未来を担う子供たちへ、科学教育に力を入れるようになります。
この時代を描いた切手が「少年たちよ子供の時から科学を愛そう切手」でした。
「少年たちよ子供の時から科学を愛そう」で一番有名な小型シートですが、少女が本を開き、空想をしている様子が描かれています。少女の周りには、月や宇宙、熱帯魚や海の様子が細かく描かれておりシート部分には柔らかい青色で染まっています。
この明るく未来を描いたような小型切手は、コレクターにとても人気の高い切手です。
小型切手シート以外にも、バラ切手がある「少年たちよ子供の時から科学を愛そう」ですが、切手によって発行枚数が違うのが特徴です。
バラ切手に関しても「模型の船」の切手のみが120万枚発行され、そのほかの5種類が1,200万枚ずつ発行されました。そして、小型切手シートは最も少ない10万枚しか発行されていません。
「文化大革命」の時のように強制的に処分はされないものの、時代と共に現存数が少なくなっているのが現状です。それゆえにシート1枚でも数万円の価値で取引されることがあります。
まとめ
日本以外にも多くのコレクターが存在する切手ですが、切手ブームが過ぎた今でも人気の高い趣味です。希少価値の高い切手などは驚くような価格で取引きをされている場合があります。
しかし、日本の切手とは違い見慣れないデザインでつい処分しがちですが、高額で売買できる中国切手は多いです。見慣れない中国切手などがありましたら、お気軽に買取おりづるにお持ち込みください。
買取おりづるでは、国内国外問わず切手を鑑定できる鑑定士が常駐しております。コレクションした大切な中国切手を私たちにお任せください。1枚〜大量でも大歓迎です。
シート切手やバラ切手はもちろん、状態が悪くなってしまった切手まで、しっかりとお買取をさせて頂きます。汚れてしまった切手や破れなどの訳あり中国切手も問題ありません。他店で断れた中国切手もご一緒にお持ち込みください。