貨幣の一つである「銀貨」。その名の通り、銀(シルバー)でできた貨幣で長い歴史を持った貨幣でもあります。銀貨というと海外などで発行されていいる海外銀貨を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は日本でも身近にあった貨幣は銀貨なんです。
今回は、日本の銀貨の中でも有名なお品物についてご紹介をさせていただきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
銀貨の歴史
銀貨の始まり

世界で銀貨が初めに使われたとされているのは紀元前7世紀頃まで遡ります。現在のトルコ西部にあったリディア王国で、金と銀の合金で作られた「エレクトロン硬貨」が最初の銀貨として登場しました。
その後、古代ギリシャやローマ帝国などに銀貨が流通されると、様々な地域で独自の銀貨を発行し特定の地域や時代を象徴するものへとなりました。
日本でも飛鳥時代には通貨が使われていたとされておりますが、この通貨は中国から輸入したものや中国の貨幣をモデルにした物を製造し使用していたとされております。
16世紀の中頃にあると日本で金銀の採掘が盛んになると、金山や銀山を手に入れた戦国大名は金貨や銀貨の製造に乗り出しました。
歴史は流れ、江戸時代になると幕府が発行した秤量貨幣が登場します。
【丁銀(ちょうぎん)・豆板銀(まめいたぎん)】と呼ばれるこの二つの銀貨は日本の歴史のなかでも有名な銀貨です。
歴史的価値のある【丁銀・豆板銀】とは?
丁銀(ちょうぎん)

慶長6年(1601年)に伏見銀座で慶長丁銀が鋳造されたのが始まりです。1859年までの約250年間使用されていた銀貨で実に長い年月使われていた銀貨です。
丁銀の一番の特徴は海鼠(なまこ)のような細長い棒状に似た形状です。
銀貨で、主に大口の取引に使用されることが多い銀貨で、1個の重さは約43匁(1匁は約3.75g)前後とされていますが、実際には30匁台から40匁台(120g~180g程度)のものが多かったようです。
重さによって価値が決まる貨幣の為、使用する分だけ切り取って使うこともあったようで、世界的にみても珍しい銀貨です。
時代によって様々な種類の丁銀が鋳造され【慶長丁銀・元禄丁銀・宝永丁銀】など様々な種類がございます。
一番最後に鋳造された丁銀は「安政丁銀」になりますが、最初に作られた「慶長丁銀」に比べると同じ重さの銀貨に含まれている銀の量は約6分の1にまで減り、銀の採掘量の減少が原因だったのではと考えられております。
1868年の明治維新政府による銀目廃止令によって、丁銀は通用停止になり使用される事は無くなりました、現在でも中古市場で見られることが多く歴史的価値が高いことから銀の価値以上で取引をされているものになります。
豆板銀(まめいたぎん)

丁銀の補助貨幣として発行されたのが、豆板銀(まめいたぎん)です。
小粒の銀貨で、丁銀よりも現代の貨幣に近い丸い形をしており【小粒銀(こつぶぎん)・小玉銀(こだまぎん)】とも呼ばれることが多く、通称は銀玉です。
丁銀が不定形なのに対し、豆板銀は一定の重さと大きさに作られており少量のお買い物やおつりなどに使われ庶民にとって身近な存在であったそうです。
丁銀と同じく作られたものになりますので、慶長6年(1601年)に作られた慶長豆板銀が始まりです。
1695年には元禄豆板銀が発行され丁銀と同じく多くの種類が発行されました。
慶長豆板銀や元禄豆板銀は、発行してからの年月が経っておりますので後に作られた安政豆板銀よりも現存している量が少ないことから、中古市場では高い価格で取引をされております。
近代の銀貨
最も有名な「1円銀貨」

【丁銀・豆板銀】が通用停止になり、明治時代に入ると明治3年(1870年)に「1円銀貨」が発行されます。
日本の貿易用銀貨で、表面に竜、裏面に菊や桐の紋章と旭日模様が描かれた銀貨です。
国内では流通せず、主に台湾や中国で使わることが多かった為、海外でよく発見される珍しい日本の銀貨になります。
材質は銀90%、銅10%の銀の比率が高い銀貨で、重さは26.96グラムと貨幣にしてみると大きな部類に入ります。
同じおもさですが、直径は2種類あり大型と呼ばれる「38.6mm」と小型と呼ばれる「38.1mm」があります。
1円銀貨はこの後にもう一種類の銀貨が発行されておりますので、先に発行されたこちらの銀貨は「旧1円銀貨」と呼びコレクターの間では分けられている銀貨です。

明治7年(1874年)から大正3年(1914年)にかけて発行された1円銀貨は「新1円銀貨」です。
旧1円銀貨とほぼ同じのデザインになっておりますが、新しく「一圓」の文字が追加で描かれるようになりました。
発行期間によって大型と小型に分けられ、大型は明治7年から20年頃まで、小型は明治21年以降に発行されました。
旧1円銀貨と同じく、材質は銀90%銅10%重さは26.96グラムとなっております。
貿易銀として発行されましたが、旧1円銀貨と違い後に国内でも流通した銀貨である為、現存している数も多く中古市場でよく見られる1円銀貨はこちらになります。
発行年数や種類によっても価値が違い、発行枚数が少ない年代の1円銀貨は高額で取引されることが多く、なかでも、明治10年(1877年)西南戦争が起こった年の1円銀貨は非常に高額で取引をされています。
現存数が多い「100円銀貨」

1円銀貨よりも現存数が多い銀貨が「100円銀貨」と言われております。
中古市場でも比較的多く取引をされている100円銀貨は3つの種類に分けられます。
【1957年~1958年に発行された鳳凰(ほうおう)】【1959年~1966年に発行された稲穂(いなほ)】【1964年のオリンピックを記念に発行された貨幣】この3つの総称が100円銀貨です。
現在では通常貨幣に銀が使われることは無くなりましたが、この3つの100円銀貨は通常の貨幣として使えるものになりますので、運が良ければおつりなどで見ることがあるかもしれません。
同じ100円銀貨ですがこの3つには違いがありますのでご一緒に説明をさせていただきたいと思います。
鳳凰100円銀貨
鳳凰100円銀貨は、1957年(昭和32年)と1958年(昭和33年)の2年間のみ発行された100円銀貨になります。
戦後間も無くして発行された銀貨で復興と国際的な経済力向上を背景に誕生した、歴史的にも価値のある銀貨になります。
表面には旭日を囲むように桜花がデザインされ、裏面には鳳凰が描かれているのが特徴です。
銀の含有率は60%(銅30%、亜鉛10%)で、重さは4.8グラム、直径は22.6ミリメートルの現在の100円玉と同じサイズの直径になります。
美しい鳳凰や日本の象徴でもある桜と旭日をデザインしたこの100円銀貨は、美術的価値もある事からコレクターの中では人気の高い銀貨です。
状態などによりますが、市場価値としては数百円から美品のものになると数千円で取引される場合もあり、非常に価値のある物になります。
稲穂100円銀貨
稲穂100円銀貨は、1959年(昭和34年)から1966年(昭和41年)にかけて発行された、表面に稲穂のデザインが施された100円銀貨です。
鳳凰銀貨よりも長い年月発行された銀貨である為、現存している数も多く中古市場でもよく見られる100円銀貨になります。
鳳凰100円銀貨の後継として発行された銀貨である為、デザイン以外は全く同じで銀の含有率は60%(銅30%、亜鉛10%)で、重さは4.8グラム、直径は22.6ミリメートルです。
表面には稲穂の束がデザインされておりますが、実はこのデザイン一般公募によって選ばれたもので日本食の象徴でもある稲穂が美しくデザインされております。
発行年によっても中古市場の取引価格に違いがあり、1960年から1964年の稲穂100円銀貨は比較的発行枚数が少ないので価値が高くなる傾向にあります。
稲穂100円銀貨は中古市場でも比較的多く取引されているものになりますので、エラーコインなどの特別な状態を除くと、一般的には数百円程度未使用などの場合は数千円で取引をされている場合があります。
東京オリンピック記念100円銀貨
【鳳凰100円銀貨・稲穂100円銀貨】とは少し違った部類ではありますが、1964年の東京オリンピックを記念して特別に発行された【東京オリンピック記念100円銀貨】も100円銀貨の1つとして数えられております。
記念貨幣として発行されたものになりますが、上記の2点の銀貨と全く同じ銀の含有量サイズ重さで作られておりますので、記念貨幣として知らなかった方も多いのではないでしょうか?
東京オリンピックの記念貨幣として発行されたものである為、デザインも他の100円銀貨とは一味違ったものになります。
表面には、オリンピックのマークでもある「五輪マークと聖火」が描かれ、裏面には「TOKYO 1964」の文字と額面の100が描かれています。
発行枚数は8,000万枚とされており、年代的にも比較的に現代に近い事から現存数も多く中古市場でよく見られるデザインになります。
市場価格としては稲穂100円銀貨と比較的同じ価格で取引をされることが多く、コレクションのなかでも最初に集めやすいものですので初めてコレクションした銀貨がオリンピック銀貨という方も少なくはありません。
まとめ
近年貴金属の高騰によって話題になっている銀貨についてご紹介をさせていただきました。
銀貨は海外銀貨の方が思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は日本でも使われる機会の多かった貨幣が銀貨であり、金貨よりも比較的安価で製造できる事から、記念貨幣などで発行されてきた歴史があります。
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