世界3大貴金属の一つでもある「プラチナ」。様々なアクセサリーや生活の一部で活躍しています。その性質は奥が深いですが、あまり知られてないのが現状です。では、ここでプラチナの魅力について詳しく解説していきたいと思います。
目次
人類とプラチナの歴史
高い技術が必要なプラチナ
今では、アクセサリーの定番であるプラチナですが、加工には高度な技術が必要です。南米では10世紀ごろから宝飾品として、プラチナが使われてきました。南米は、プラチナの産出地域であるため、加工の仕方も古くから知っていたのです。
さらに、紀元前12世紀には、古代エジプトもプラチナを装飾品として使用し始めます。古代エジプトに存在した、テーベ王国の女性神官であるシュペヌタットの墓からは「テーベの小箱」と言われる化粧箱が出土されました。
この箱自体は金と銀で出来ていますが、その表面に線を彫って、そこにプラチナを埋め込んだ高度な技術が使われています。この「テーベの小箱」現在は、パリのルーブル美術館に展示されています。さらに、ファラオの装身具にプラチナが使われたとされていますので、古くから金と同じく権力の象徴として使われてきたのかもしれません。
廃棄処分されていたプラチナ
今までの話でプラチナは高価な貴金属と感じるかもしれませんが、このプラチナは廃棄処分されていた貴金属だったのです。まだこの頃は世界的には名も知れない貴金属だった為です。
プラチナと呼ばれるようになったのは、16世紀頃スペインが南米を占領し、コロンビアのピント川でプラチナを発見しました。銀と同じ色をした何かだと考え、「プラチナ・デル・ピント」(ピント川の小粒の銀)と母国に報告したことが名前の由来となっています。これが世界にプラチナという名前が広まったきっかけです。
スペイン兵はこのプラチナを母国に持ち帰り献上します。しかし、プラチナを持ち帰ってみたものの初めて見るプラチナをどう加工するのか全くもって不明だった為、いくつもの実験を重ねました。
分かったことはプラチナを加工する為の融点はとても高いということだけでした。金の融点は1064°Cですが、プラチナの融点は1769°C。
プラチナを見つけたのは早い段階でしたが、この時代のヨーロッパではプラチナを加工するには技術が足りませんでした。プラチナが発見された同時期には、ヨーロッパで銀のブームが来ており銀の需要が高い傾向にありました。そこで銀と一緒に発掘されたプラチナは加工直前まで一緒に運ばれ銀と仕分けられ、プラチナのみを廃棄したのでした。
プラチナ活用への道
プラチナが発見されてから長い時間がたった頃、本格的にプラチナの研究がされることになります。今までの精錬技術では加工することが難しかったプラチナですが、ヨーロッパ各国ではいかにプラチナを活用するか精錬技術を競っていました。
その結果最も早くその結果を出したのは、フランスでした。フランス国王ルイ16世。かの有名なマリーアントワネットの夫です。このルイ16世は「プラチナは王にのみふさわしい貴金属である」と宣言しました。
こうして、プラチナ専属の金細工師(マルク・エチエンヌ・ジャネティ)を雇い、多くのプラチナ製品を作りました。1786年に制作されたプラチナ製品の一つがニューヨークのメトロポリタン美術館に寄贈されています。
この「プラチナ製砂糖壼」は現代でも変わらない輝きで人々を魅了しており、プラチナが自然に強い貴金属だということが分かります。
貴重な鉱石プラチナ
地球が生まれる前に誕生していたプラチナ
プラチナは地球で採掘されることから、地球に元からあった鉱石なのかというとそれは違います。近年の研究によるとプラチナは地球上にあったものではなく宇宙から飛来してきたものではないか?という説です。
プラチナは「Pt」の元素記号で表されます。原子番号78番で、原子が主に見られます。
しかし、この物質は地球で生まれることは難しい為、地球に元からあった物ではないことが分かります。そして一番有力な説によると地球が誕生した約46億年前に、小惑星や隕石が地球に衝突した際に高温高圧の環境が作られプラチナが生まれたと考えられています。
地殻を構成する岩石や鉱物に微量の形でプラチナは含まれており、地表深くに埋まっています。その為、現代の技術では深く地中にあるプラチナをを採掘することは不可能です。しかし、その作られたプラチナは、なんらかの原因(地震などの地学現象)により、ゆっくりと長い年月をかけ、地表付近に現れます。
地表付近に現れたプラチナは雨や風によりゆっくりと川へと流れ出るのです。そのプラチナを砂白金(さはっきん)と呼び、過去では、北海道の石狩川・天塩川や新潟県などでプラチナが採掘されたそうです。
砂金と同じくプラチナが川で取れるのは意外と驚かれるかと思いますが、現代では中々見つけることが出来ない為、希少な貴金属であることが分かりますね。
プラチナの残り埋蔵量
現代では、金と並ぶ人気があるプラチナですが、これも金と同じく限りある資源です。このプラチナは大量に埋まっている訳ではなく、1トンの原鉱石からたった3gしか取れません。1トンの鉱石を掘り当てたとしても、細い指輪一本分にしかならないのです。さらに、プラチナはこの広い地球上でも南アフリカ共和国などの限られた地域でしか産出されません。
採れる量も少なく、有史以来、人類が手にしたプラチナをすべて合わせても、たったの7,000トンほど。ゴールドの1/30の量でしかありません。
その為、現代ではプラチナのリサイクルのため、不要になった電化製品を集めプラチナのリサイクルをしています。アクセサリーに用いられることが多いプラチナですが、その他にも自動車や燃料電池、医療器具、様々な物に活躍しています。
こういったプラチナのリサイクルを活用することによって、限りあるプラチナを有効的に活用していくのです。
金よりも安くなってしまったプラチナ
プラチナの残りの埋蔵量は金よりも圧倒的に少なく希少価値は金よりも高く見えるプラチナですが、近年は金とプラチナの相場に逆転が起こっています。これには経済が関係していることを皆さんはご存知でしょうか?
金の採掘量の5割以上が宝飾品へ変わり、その中で1割程度が工業用部品として使われています。それに比べ、プラチナは採掘量の3割が宝飾品へ、残りの6割以上が工業用需要へと変わります。この二つの貴金属の需要が全く逆だということが分かりますね。
金は装飾品としていつの時代も変わらない需要があり、さらには資産として安定の価格を維持できる唯一無二の貴金属になります。しかし、プラチナの工業用需要の一番の使い道は自動車産業です。
なので自動車の売れ行きが良いとプラチナの需要も上がるので、その価値も上がるということになります。このプラチナの価値が高かった時代は2008年と言われています。車の売れ行きも良く、多くのプラチナが自動車産業に使われました。しかし翌年2009年この自動車産業は一気に不況に陥ります。
この理由は、 世界同時不況による需要の低迷、主に欧米向けの輸出が激減したことによる車の需要の低下。その為、プラチナの需要もここから落ちていく事になります。
不況を脱出したと思えば、今度はガソリン車の廃止の取り組みが始まりました。二酸化炭素を排出し、環境に悪いとされているガソリン車からディーゼル車やEV車に変える取り組みです。
目安になりますが、ガソリン車に使われているプラチナの量は約2〜7gとされています。しかし、ガソリン車から変わる予定のディーゼル車では、約3〜4gと大幅に減っています。
さらに、近年では活発的になってきているEV車(電気自動車)はプラチナを一切使わない車になっています。ガソリン車で大きな需要を持っていたプラチナがゆくゆくは自動車産業で使われない貴金属に変わってしまう恐れがあります。
不況になるとプラチナの価値は下がり、資産価値のある金の価値が上がることで現代の希少価値の高いはずのプラチナが金よりも相場が落ち込んでしまうといったことが起こります。
日本のプラチナの需要
婚約指輪は金?プラチナ?
結婚指輪といえば、金かプラチナどちらを選びますか?海外では金のリングがブライダルリングに選ばれることが多いですが日本はどうでしょうか。日本ではブライダルリングはプラチナ、というイメージが強いです。それにはしっかりとした理由があります。
ブライダルにぴったりな色は白と言われており、日本では白無垢などを着ることがありますね。「清楚」「純粋」「純潔」などのイメージから白がブライダルに選ばれる理由です。
現代でもウェディングドレスは白を選ぶ方が多く、白が好まれていることが分かります。その為、婚約指輪や結婚指輪を同じく白に合わせる方が多く、自ずとプラチナが選ばれることがになります。
なんと日本では約7割の方がブラチナのブライダルリングを選んでいると統計があります。しかし、このプラチナが選ばれるには色以外にもプラチナの特徴も影響しています。
プラチナの性質と特徴
金は劣化しにくい、というのは有名ですがプラチナはどうでしょうか。実はプラチナも金と同じく丈夫で劣化しにくいのが特徴の貴金属です。プラチナは化学的に安定していて、日常生活の中で変色・変質の心配がないのが大きな魅力です。
同じ白金色の銀とは違い、変色【硫化(りゅうか)】の心配もなく日常的に安心して身につけることのできるアクセサリーになります。また、シルバーや金(ピンクゴールドやホワイトゴールド)のアクセサリーは温泉の成分に反応し、変色が起こってしまうことがあります。
これは割がね部分の銅やロジウムなどが硫黄に反応して起こる化学反応です。このことから温泉などではアクセサリーを外さないといけない理由です。しかし、プラチナには割り金にパラジウムを混ぜていることが多いので変色の心配なく過ごせます。
まとめ
プラチナの需要はまだまだ下がることはないかと思われますが、希少な貴金属の為、いつかは市場に出回ることがなくなるかもしれません。プラチナは一定の量を採掘されていますが、少しづつ埋蔵量が減ってきています。
しかし、プラチナの多くはリユース(再利用)することで供給を保っています。切れてしまったネックレスやサイズが合わなくなってしまったリングなど、プラチナをリユースすることでまたプラチナの商品に生まれ変わることが出来ます。
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