プラチナと同じ輝きを持つ「パラジウム」。最近では話題となっている貴金属の仲間ですが、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか?聞き馴染みは無いかもしれませんが、パラジウムは私たちが普段暮らしている中にも様々な用途で使われているのです。今回は未知の貴金属「パラジウム」についてご紹介させて頂きます。
目次
パラジウムの歴史
パラジウムとは
シルバーやプラチナと同じく白金の輝きを持つ「パラジウム」。聞き馴染みがないかもしれませんが、金や銀などと同じく立派な”貴金属”の仲間です。パラジウムの融点は他の貴金属と比べ低い特徴がありますので、比較的加工がしやすく様々な製品に使う事ができる万能の貴金属なのです。
そんなパラジウムは【1802年】イギリスの医師であり科学者でもあった「ウィリアム・ウォラストン」により発見されました。彼は、パラジウムの発見後にも「ロジウム」を発見し科学に大きな進歩を与えた人でもあります。
パラジウムの発見と同年に「小惑星パラス」が発見され、この小惑星の名前が「パラジウム」の語源と言われております。
パラジウムは発見されてから、他の貴金属とは違った特徴があるということが研究で発見されました。なんとパラジウムは自分の体積の900倍もの水素を吸蔵する事ができたのです。
その為、発見されてからは”水素の精製・水素添加触媒”などの工業用品に活用される事が多くなりました。しかし、近年ではパラジウムの活躍の場が工業製品以外にも広がっています。
パラジウムが活用されているコイン
美しいロシアのパラジウムコイン
パラジウムが活用されているのは工業製品だけではありません。他の貴金属と同じく”貨幣”として市場に流通しています。そんなパラジウムコインの中で最も有名なのはロシアのパラジウムコインです。
まず、ロシアは世界のパラジウム生産量1位を記録しています。その為、他国では採掘が難しいパラジウムを貨幣として取り扱うことができるのです。
ロシアのパラジウムコインの中でも人気なのが「ロシアバレエシリーズ」と言われる、美しいバレリーナが描かれているコインです。このロシアバレエシリーズのパラジウムコインは、ロシア造幣局から地金型コインとして発行されています。
ソ連時代から発行されているシリーズですが、ソ連が崩壊してロシアとなってからも発行されているコインです。
1ozは1989、1990、1991年(ソ連時代)と、1993、1994、1995年(ロシア時代)に発行されました。 表面にはCCCP(ロシア語でソ連の略称)の文字と国章。額面・年銘・品位が刻まれています。
額面は10ルーブル・25ルーブルの種類がありますが、「25ルーブル=約41.93 円」になりますので、そのまま貨幣として使うのは勿体無いの一言に尽きるでしょう。
パラジウムは希少価値の上がり安い貴金属ですので、10ルーブルで80,000円前後、25ルーブルで300,000円前後の価値が付いたこともあります。
貨幣より資産やコレクションとして手に入れることの多いコインでもあります。
可愛らしい絵柄が人気「パンダコイン」
ロシアのパラジウムコインに負けない知名度を持っているのが、中国で発行されているパラジウムコインです。中国ではパンダコインと言われる貴金属で製造されたコインが多く存在します。「金・プラチナ・シルバー」が人気です。
中でも、パンダ金貨は1982年から、中国の造幣局「中国造幣公司」にて毎年発行されている長い歴史を持った金貨です。コレクターには”熊猫金幣“とも言われています。
そんなパンダコインにもパラジウムで製造されたコインがあります。1989年には50元、2004年には100元が発行されています。
パラジウムとしての資産価値の高いパンダパラジウムコインですが、もちろんコレクションとしても人気が高いのです。
親子で仲睦まじい姿を描いたものや、デフォルメされた可愛らしいイラストのパンダなど見ているだけでも楽しいパラジウムコインになっております。
資産目的ではなくこの可愛らしいイラストのために購入しコレクションする人も多く、中国国内・国外問わず人気の高いコレクションなのです。
パラジウムが話題になった歴史
プラチナよりも安かったパラジウム
パラジウムは「金・プラチナ」などに比べると知名度がまだ高くなく、聞いたことが全くない方も多いかと思います。
それもそのはず、貴金属の分類には入っていますが、数十年前には「金・プラチナ」などと違い装飾品などにも活用されず、主に工業製品に使用されるものでしたので、知名度も低く価値も高くはありませんでした。
その為、プラチナと同じ輝きをしていましたがプラチナよりも遥かに安く手に入れる事のできた貴金属だったのです。
この安価に目をつけたのがアクセサリー業界でした。プラチナと同じ輝きを持つパラジウムをメッキ加工することでプラチナ風のアクセサリーを製造したのです。
プラチナが結婚指輪の定番として根付いてきた時には、なるべく価格を抑える為にパラジウムとプラチナを掛け合わせたジュエリーを製造し、多くの顧客がその価格に惑わせれてしまったのです。その後、シルバー製品の割金やピンクゴールドの割り金に使われる事が多くなったパラジウムですが、問題が起きます。
実はパラジウムは貴金属の中でもアレルギーが起きやすい貴金属です。パラジウムは汗や体液などと化合すると、稀に溶け出す性質があったのです。
その為、安価なプラチナ代用アクセサリーとして製造したものの、このアレルギーが原因で製造されることが少なくなってしまったのです。
パラジウムは、プラチナと比べて安く耐久性も高いメリットがありましたが、その裏では加工技術が難しい・アレルギーが起こりやすいなどの課題もあり、日本では取り扱いしている企業が少ないのが現状です。では、近年パラジウムの話題や価値が上昇しているのは何故でしょうか?
パラジウムの価格上昇
アクセサリーとしては難点が多かったパラジウムですが、工業用品においては素晴らしい活躍を見せるものでした。パラジウムの需要の8割が自動車の触媒として使われています。パラジウム以外にもプラチナやロジウムなども車の触媒に使われる事もあります。
プラチナは主にディーゼルエンジンに触媒として使われており、パラジウムは主にガソリンエンジンに使われています。
プラチナは自動車の触媒としての性能は良かったのですが、プラチナ自体の価値が高く十分に使うことが出来ませんでした。そこで、選ばれたのがプラチナよりも遥かに安い”パラジウム”だったのです。
ガソリンエンジンには、パラジウムの能力で問題なく稼働し安価で作れることからパラジウムは多く使われることになりました。しかし、ディーゼルエンジンにはパラジウムの能力では不十分でしたので、価格の高いプラチナを使わざるを得ませんでした。
エンジンの種類によって価格が違うのはこういった背景があるからなのです。
こうしてプラチナの代わりとして車の触媒に使われることになったパラジウムですが、次第に排ガス規制が世界中で厳しくなっていきディーゼルエンジンの需要が下がっていきました。
ディーゼル車の需要が下がっていく中、世の中で売れる車のほとんどはガゾリン車になっていき、パラジウムの需要が急上昇したのです。現にパラジウムの値段が高騰し始めたのが、自動車の排ガス規制が強まった1990年代のことでした。
なんとプラチナの代用品と言われていたパラジウムが近年ではプラチナの何倍もの価値にもなり、市場で取引される貴金属としては圧倒的に高いものになりました。
プラチナよりも高くなってしまったのであれば、パラジウムの代わりにプラチナを代用できれば良いのですが、パラジウムとプラチナの価値がいつ逆転するかもしれない状況で製造設備を大幅に変更することは現実的ではないので、うまい具合に切り替えができない状況なのです。
埋蔵量の減少
パラジウムは様々な工業用品に使われる背景などがあり、その価値は年々上昇している傾向にあります。しかし、「金やプラチナ”と同じく限りある資源だという事も忘れてはいけません。
パラジウム生産量ランキングでは、1位がロシア、次いで2位南アフリカ、3位カナダ、4位米国になっていますが、ロシアと南アフリカで全体の8割以上を占めます。その為、ロシアと南アフリカの採掘量が減ってしまうとパラジウムの生産量は格段に落ちてしまうかもしれないのです。
2018年末時点で世界のパラジウムの埋蔵量は10300トンほどとなっており、金やプラチナなどに比べて最も稀少な金属の一つとも言われることもあります。
その為、現在ではパラジウムの再利用に力を入れる企業が増えています。パラジウムが多く使用されているガソリン車や工業用品からパラジウムを取り出し新たな部品へと変える様になりパラジウムが市場から消えることはまだ先になるかもしれません。
まとめ
貴金属の中でも特に希少な「パラジウム」ですが、近年需要が高まるにつれその価値も上昇している傾向にあります。パラジウムは工業用品に使われることが多いため、パラジウムの減少は私たちの生活に大きな影響を与える事になります。
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銀歯などに使われる事がある「金銀パラジウム合金」にもパラジウムが使われています。もちろん未使用の歯科剤だけでなく治療に使用された歯科材料も買い取りさせていただきます。
数十年前などは、パラジウムをプラチナの代わりに使われるアクセサリーもありましたので、パラジウムか分からない…。そんなアクセサリーもぜひ当店で一度無料査定をご利用してみてください。