金は貴重な限りある資源であり、私達人間は遥か昔から金と深く関わってきました。その希少さ故に、装飾品目的で所持するのではなく資産として所持する人が増えてきました。金を資産として所持するのに最適なのが「インゴット」ですが、通常の金と一体何が違うのと疑問に思うかたも多いはず、今回は「インゴット」について詳しく解説をしていこうと思います。
目次
金とインゴットの歴史
世界と金の歴史
金と人類の関係は深く、様々な文明で金を有効活用してきました。これは金の持つ独特な輝きと、金の特徴である柔らかさが人類にとって加工しやすく特別だったからでしょう。現代では「富の象徴」とも言われる金ですが、遥か昔では自身の権力を表すものだったのです。
金と最も関係が深かった文明が「エジプト文明」です。古代エジプト文明では、金は特別なものだとされかの有名なクレオパトラをはじめ多くの王族が金を好んで使用していたそうです。エジプト文明と金は深い関係にあり、最も有名なのが”黄金の仮面「ツタンカーメン」”ではないでしょうか。
この時代では難しかった金の精錬を見事にこなしており、非常に純度の高い23金で出来ています。重さは11kgで純度も重さもある貴重な文化財であり、歴史的価値と金の価値を合わせると300兆円はくだらないとされております。その他にも金の調度品が多く出土されるなど、金を多く活用していたことが分かります。
インゴットの始まり
そんなエジプト文明が生み出したのがインゴットです。現在のインゴットは皆さんがよく知る「延べ棒」と言われる厚板形やなまこ形が多く見られます。エジプト文明が初めて作ったインゴットは現代とは全く違った「ドーナツ型」でした。ドーナツ型以外の金塊なども出土しており、全てがこの形ではなかったようです。
では、なぜインゴットは塊にして保管していたのでしょうか?これにはインゴットの目的が関係しております。インゴットは主に資産として貯蔵することを目的としておりますので、アクセサリーなどの装飾品などで金を保有すると保管しづらく、見た目だけでは詳しい重さ(g)も分かりにくいので貯蔵に向いておりません。
その為、インゴットを決まった重さ・純度・形にしておくことで保管しやすく管理もしやすいといったメリットがあるのです。
インゴットの様々な決まり
純度
インゴットの純度は純金であることは皆さんご存知だと思いますが、アクセサリーなどで使われる純金とは全くの別物です。インゴットは資産として所持する物ですので、「純度」が重要視されます。その為、インゴットの表面には純度を表す「999.9」の刻印があります。
ここで、注目すべきなのは4桁の「9」です。純金を表す刻印はアクセサリーなどで見る機会もありますが、そのどれも「999」の3桁です。同じ純金でも刻印の違いが出るのは、インゴットの特別な精錬法が関係しています。
インゴットの精錬は非常に難しく通常の純金よりも精密に製造しなければいけません。純金のアクセサリーや製品は機材さえあればどの工場でも作ることができます。しかし、インゴットは精錬方法も特殊で審査機関「LBMA」が認めたインゴットでなければ市場には流通できません。
この「LBMA」が認める純度は「999.9」以上の金の純度ですので、「999」の純金ではインゴットに見合う純度ではないのです。そんな訳でインゴットの刻印は「999.9」で表されているということです。
「999.9」の残りの0.1%がある理由は、地球上で純度100%の物質は作れない(空気中などの塵やゴミが入る恐れがある為)ということで、0.1%の保険がかけられています。
重さ
インゴットの重さにはしっかりとした基準が設けられています。アクセサリーやジュエリーとは違い、金のインゴットに重さが刻印されている為、最も一般的な金のインゴットは1㎏で資産として貯蔵する方の殆どが1kgを選んでいました。
しかし近年では金の高騰化に伴い1kgでは購入しづらい為か【500g・100g・50g】のインゴットの需要も増えつつあります。この少ないインゴットは購入しやすいメリットだけではありません。
1キロを購入するのにも、小分けにして購入することで「売却の際に必要な分だけ少しずつ売る事ができる」ことは勿論、「家族に均等に財産分与が可能になる」事が一番のメリットでしょう。インゴットの贈与は税金がかかりますので、小分けにして分けることによって節税対策になるのです。
ここまでのインゴットは資産として貯蓄する為に購入する場合が多いですが、金のインゴットはアクセサリーとしても需要が高いです。日本ではメジャーなアクセサリーではありませんが、海外では人気の高いアクセサリーです。主にペンダントとして使用される為、重量が重いインゴットは好まれません。
ペンダント用として活用されるインゴットは【20g・10g・5g・2g・1g】があります。コインネックレスと同様に資産価値が高く、有事の際の金として役に立つ場合もあります。
アクセサリーとしても実につけられ、資産としても価値のあるインゴットアクセサリーは、昨今の金の価格上昇によって話題になっております。
刻印
インゴットには様々な刻印打たれています。主に【ブランド名・重量・品位表示・シリアルナンバー】です。インゴットの表面にはパッと見てすぐに情報を見て取る事ができます。
この刻印は情報を読み取るだけではなく、本物かどうかを見極めるための確認箇所としても重要な部分です。インゴットはこの信頼の証でもある刻印が入り始めて「インゴット」として扱われます。刻印が入っていないインゴットは同じ形をしていても「金の塊」でしかありません。
さらに重要なのがインゴットの「シリアルナンバー」です。このシリアルナンバーはどのインゴットにも記載があり「必要なのか?」と思う方もいるかもしれません。しかしインゴットを発行する上でこの「シリアルナンバー」はとても重要な項目です。
「シリアルナンバー」が刻印される理由は主に2つ「商品管理の為」と「偽造防止の為」です。インゴットに「シリアルナンバー」を記載しておくことで金の取引の際に間違えなどを防止でき。さらにシリアルを購入記録などに保存しておくことで販売元の管理にも繋がります。
そしてインゴットのトラブルで最も多い「偽造」ですが、「シリアルナンバー」を記載する事で偽物を排除する事ができます。同じシリアルナンバーのインゴットは必然的に存在しなくなりますので、もし売買をしたとしてもシリアルナンバーで判断ができ、すぐに偽物だと確認する事ができるのです。
このことからインゴットには販売元によって独自の「シリアルナンバー」が刻印されるようになりました。
国ごとに違うインゴットの発行
日本の発行元
日本のインゴットの3大ブランドは【田中貴金属工業・住友金鉱鉱山・三菱マテリアル】と言われていますが、その他にも多くのインゴットブランドがあります。【田中貴金属工業・徳力本店・石福金属興業】も人気の高いブランドです。
普段ではあまり聞くことのないメーカーが多いかもしれませんが、皆さんも田中貴金属のCMを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?(純金積立コツコツ♪のCMソングが有名ですね)
インゴットは通常の金アクセサリーや金地金などに比べると購入しづらいイメージを持たれる事が多いですが、上記で挙げた貴金属メーカーの店舗で直接購入する事ができます。
このインゴットを購入できる店舗は「日本金地金流通協会」に登録されている店舗であり、金の購入が初めての方でもプロの意見を聞くことのできる安心な販売店です。
代表的な日本のブランド
- 田中貴金属工業
- 住友金鉱鉱山
- 三菱マテリアル
- 徳力本店
- 石福金属興業
日本のメーカーのインゴットは国内に売るのに適しており、基本買取店に持っていっても断られることは少ないでしょう。そういったメリットから日本国内のメーカーを選ぶ方が多いですが、過去では金のインゴットは海外製の方が流通していました。
では、海外製のインゴットはどんなものでしょうか?
海外のインゴット
現代の日本でも海外インゴットはそう珍しいものではありません。数十年以上前にインゴットを購入したお客様は海外インゴットの割合が高いです。では、なぜ日本国内に海外インゴットが多く流通したのでしょうか?
今では驚く方も多いかと思いますが、数十年前の金の価格は現代の半分以下でした。日本でも「ゴールドブーム」が起こり多くの方が金を求めました。
当時では、銀行やデパートなどでインゴットを購入できるほど、インゴット購入の敷居は低かったのです。しかし、銀行やデパートの自社でインゴットを製造するのではなく、仕入れたものを販売する形態でした。
そこで日本の金インゴットの製造が追いつかなくなってくると、海外のインゴットを仕入れ販売するようになりました。これが過去に海外インゴットが多く流通した理由でもあります。
しかし2019年頃になると、海外インゴットの買取が難しくなります。これには”密輸”による深刻な問題が関係しています。
近年多くなってきた海外から日本への金の密輸ですが、皆さんも一度はニュースやSNSなどで聞いたことがあるかと思います。ではなぜ日本にわざわざ金を密輸するのでしょう。
シンガポールをはじめ香港やドバイは金に消費税がかからない国です。消費税かからないということはその分金を安く購入することができます。しかし、日本では金に対して消費税がかかります。海外で100万円の金を購入し日本に密輸することができれば110万円で購入され10万円の利益をもらうことが可能になります(2024年現在)。
これを防ぐ為に海外で購入した金の持ち込みにはさまざまな制約がかけられていますが、それを破る人がいるのも現状です。
そんな訳で、海外製のインゴットは密輸されたものか正規ルートで輸入されたものかの判断がつかない為、リスクを追ってまで購入するものではないと、様々な買取店でお取り引きを断る例も出ているのです。
まとめ
今回は「金のインゴット」について詳しくご紹介させて頂きました。近年稀に見ない金の高騰化によって金が多く取引されるようになりました。金の高騰はまだまだ続くと予想されていますが、世界情勢によっては元の価格に戻るのではないかと考える人も増えています。
金の価格が定まらない今だからこそ、金が高騰化している今が売り時でもあるでしょう。買取おりづるでは金の高価買取を実施中です。今回紹介させていただいた「インゴット」だけではなく、金アクセサリーや金貨の買取も行なっております。
インゴットのお買取にはぜひ当店にお越しください。どこにも負けない金買取をお約束いたします。状態は問いません。”海外製インゴット”もお任せください。ご相談も随時受け付けております。皆様のご来店を心からお待ちしております。