宝石は一つ一つ違った顔を見せてくれます。カラーやインクルージョン(内包物)大きさなどこの世に一つとして同じ宝石はないと言われるほど特別なものなのです。そんな宝石の最高品質の名称を持つ宝石をみなさんはご存知でしょうか?
ルビーならば真っ赤なものほど最高品質と言われ、サファイアなら濃い青なほど価格が高くなっていくのです。その特別な品質に対してそれぞれ特別な名称がつけられているのです。今回はそんな、宝石の最高品質の名称やスペシャルネームを持つ宝石などを皆さんにご紹介していきたいと思います。
目次
世界3大宝石の最高品質
真っ赤な色は血の色「ピジョンブラッド」
宝石の中でも最も赤い色を持つ宝石が「ルビー」です。ルビーはサファイアと同じコランダムという鉱石から生まれますが、ルビーの赤い色以外は全てサファイアに分別されますので、ルビーはとても希少な宝石なのです。
さて、そんなルビーの最高品質をご存知でしょうか?かの有名な探検家「マルコ・ポーロ」が欧州にもたらしたと言われるルビーですが、このルビーの名高い産地だったのがビルマ(現ミャンマー)でした。
英国人にルビーの美しさが伝わると、多くの人が真紅のルビーを求めるようになりました。人々はいつしか、この鮮明で美しい赤を血の色に例えて、「ピジョンブラッド」と呼び、讃えるようになったのです。
この歴史が現代まで伝わり、ルビーの最高品質は「ピジョンブラッド」と宝石鑑定士の中でも流通している言葉になります。
かつて「ピジョンブラッド」という名は、旧ミャンマーのモゴック地方の鉱山で産出された最高品質の非加熱ルビーだけに使われる言葉でしたが、現在では鮮やかな真紅のルビーであれば、産出地にかかわらず「ピジョンブラッド」の名前が使われています。
直訳すると「ピジョンブラッド(鳩の血)」になります。名前だけ聞くと少し怖い感じがするかもしれませんが、一眼見るだけで多くの人の心を奪うような魅了が感じられます。
このピジョンブラッドのルビーが、2015年にカルティエ(Cartier)の宝飾品のオークションで競売にかけられた記録があります。「ピジョン・ブラッド」の最高品質を持つルビーで、25.59カラットの大きなルビーの指輪でした。
この指輪を競り落とした人は氏名未公開の一般入札者でしたが、ルビーとしては史上最高額となる2825万スイスフラン(約36億5200万円、手数料を含む) の価格が付いたのです。
ピジョンブラッドは濃すぎても薄すぎても認められないので、とても希少な宝石なのです。
ベルベットブルーの美しい輝き「コンフラワーブルー」
青く美しいカラーが特徴のサファイア。上記でも述べましたが、ルビーと同じコランダムという鉱石から生まれます。このコランダムから生まれる宝石のうち赤いもの以外は全てサファイアに分別されますので、ブルー以外にも【ピンク・オレンジ・イエロー・グリーン】など様々なカラーがあることが特徴です。
さて、このサファイアにも最高品質の名称があります。それが「コーンフラワー・ブルー」です。
コーンフラワーは、ヨーロッパに生息するヤグルマギク(矢車菊)の名称です。聞いたことがないという方もいるかもしれませんが、実は道端や川沿いなどに「矢車草」と呼ばれ日本でもよく見ることができる花です。青以外にも白やピンク、赤などの色があります。
この花の色に例え、コンフラワーブルーと呼ばれるサファイアは、インドとパキスタンの国境にある山岳地帯カシミール地方で産出された最高品質のサファイアを指します。ベルベットブルーで少し靄の掛かった様な美しい青色が特徴です。
しかし、コーンフラワーブルーのサファイアが産出するカシミール地方では、現在紛争や核実験などによる環境破壊が激化しており採掘ができない現状です。更にこの地域には立ち入りその物が難しい問題もあるためか、1980年頃を境に、実際にカシミール地方産出のブルーサファイアをマーケット内で目にすることは在りません。
市場では希少な宝石の一つとして知られる「コーンフラワーブルー サファイア」ですが、産出地にかかわらず「ピジョンブラッド」の名前が使われるルビーとは違い、カシミール地方産出のブルーサファイヤにしか使われません。
このカシミール地方と同等な品質を持つサファイアが”スリランカ”でも産出されるようになりましたが、こちらは「ロイヤルブルーサファイア」と呼ばれますので、コーンフラワーとは別のものになります。
ゆらめく雫「ゴタ・デ・アセイテ」
エメラルドは何千年もの間、宝石の中でもトップクラスに輝く人気の高いカラーストーンです。緑色の色石は様々な種類がありますが、このエメラルドに匹敵する美しさは無いとも言われるほどです。
エメラルドをこよなく愛した女性がいます。世界3大美女としても知られる”エジプトのクレオパトラ”です。彼女はエメラルドを愛す余り、自身の名前をつけたエメラルド鉱山を所有したり、さらにはエメラルドを粉末状に砕いたものをアイシャドウとして使用した記録も残っています。
エメラルドは紀元前330年以前からエジプトのいくつかの場所で発見され、半透明の品質のエメラルドが産出していたといわれています。
このエメラルドの中でも最も品質が高いものを「ゴタ・デ・アセイテ」と呼びます。スペイン語で「油のしずく」の意味を持ったこの名称は、宝石の中に一滴のオイルを垂らしたようなユラユラ揺れる様子が見て取れるのが特徴です。
他の宝石には見れないこの特徴は、エメラルドの結晶が成長過程で様々な他の鉱物を取り込むことでできた不規則性の結晶構造の模様になっています。見つかる確率は数千個に一つと言う確率な為、エメラルドの中でも遥かに高い価格で取引をされることが多く見るだけで幸運と言われる程です。
特別の名称を与えられた宝石
海のような美しい輝き「パライバトルマリン」
「世界三大希少石」の一つとして有名な、美しいネオンブルーの宝石「パライバトルマリン」。その輝きは南国の海を思わせるような美しいカラーをしています。
”トルマリン”と聞くとそこまで珍しい宝石ではなく希少価値もそれほど高く無いものになりますが、「パライバトルマリン」になると同じ大きさのダイヤモンドよりもはるかに高額の値がつきます。
「パライバトルマリン」は比較的最近に見つかった宝石です。1987年にブラジル・パライバ州のバターリャ鉱山で初めて発見され当時は大きな話題を呼びました。しかし、わずか数年で鉱床は底をつき閉山となってしまった為、宝石市場では幻の宝石とも言われております。「パライバトルマリン」の”パライバ”は、このパライバ州の名前に由来しています。
近年ではブラジルの他地域やアフリカでも産出する為、現在では産地に関わらず「パライバトルマリン」と呼ばれるようになりました。
しかし、パライバトルマリンはあくまで宝石市場で呼ばれる名称なだけですので、鑑別書には「トルマリン」としか記載されません。そんな時は、「分析報告書」を利用するのも一つの手です。
分析報告書
この「分析報告書」には”銅とマンガンの含有量”を記載する事が可能ですので、パライバトルマリンかを判断する事ができます。自身が持っているトルマリンがどのようなものか知るのも良いかもしれませんね。
機関にもよりますが数千円〜2万円で取り寄せることも可能ですので、気になるかたは是非調べてみてください。
花の美しさを持った「パパラチアサファイア」
カラーサファイアの中でも人気の高い「パパラチアサファイア」。オレンジとピンクの中間のカラーが特徴なサファイアです。
カラーサファイアは非常に多くバリエーションがありますので、鑑別機関で決められた色よりもピンクが強ければピンクサファイアに、オレンジが強ければオレンジサファイアに分別されてしまう為、非常に狭い色範囲でしか産出されませんので、大変希少で「幻のサファイア」とも言われる事があります。
シンハラ語(スリランカで話されているシンハラ人の言葉)で「蓮の花の色」という意味をもつ「パパラチア」サファイアはその名の通り蓮の花を思わす独特の色をしています。
スリランカでは、蓮の花をお供えに使うなど国内でも愛されている花です。その為、パパラチアサファイアはとても人気の高い宝石でもあるのです。
パパラチアサファイアの評価基準は、カラーとクラリティ(透明度とインクルージョン)が重要視されます。色が濃く、透明度も高く、インクルージョンもほとんどないパパラチアサファイアは、高額で取引をされます。1カラットで数百万円するパパラチアサファイアもあるほどです。
逆に、色が薄いもの、濃すぎるもの、不純物が多く透明度が低いものは、価値が下がる傾向にあります。その為、パパラチアサファイアとして認められる範囲は非常に狭いため希少価値はとても高いです。
まとめ
宝石には特別な名前を持ったものや特徴がありとても奥が深いものです。今回は宝石の最高品質のスペシャルネームを紹介させていただきました。知っている宝石の名前はありましたか?まだ紹介していない宝石もありますので、次回に合わせて紹介したいと思います。
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