様々なカラーが楽しめる宝石。好きなカラーを選ぶのも良いですが、宝石には色々な効果があるのをご存知でしょうか?
光の筋が現れる「スター効果」や「キャッツアイ効果」、虹色の光の帯が見られる「遊色効果(プレイ・オブ・カラー)」、青白い光が現れる「シラー効果」など、宝石によっても多くの効果があり、その魅力は尽きることを知りません。
今回は宝石の効果の中でも珍しい、光によって印象がガラリと変わる不思議な宝石についてご紹介をしていきたいと思います。
目次
カラーチェンジが魅力な宝石
アレキサンドライト

カラーチェンジの効果を持った宝石の中でも、最も有名な宝石といえばまず名前が上がるのが「アレキサンドライト」だと思います。アレキサンドライトは、光源によって色が変わる「変色効果」を持つ希少な宝石です。
太陽光や蛍光灯の下では青緑色、白熱灯やロウソクの光の下では赤紫色に変化し別名「昼はエメラルド、夜はルビー」と呼ばれます。
このカラーチェンジが非常に綺麗に出るものは少なく、カラット数が低いものでも上質なダイヤモンドよりも遥かに高く取引をされます。
近年では本物のアレキサンドライトに非常によく似た、合成アレキサンドライトが市場によく出回るようになり本物よりも安価でカラーチェンジがしっかりと出るアレキサンドライトが出回っております。カラーチェンジがしっかりとしているのに違和感のある価格で販売されている場合は、合成の可能性が高いので注意をしなければなりません。
カラーチェンジガーネット

1月の宝石として知られている「ガーネット」。和名では「柘榴石(ざくろいし)」と呼ばれ、果物の柘榴のように美しい濃い赤が魅力な宝石になります。
そんなガーネットにもカラーチェンジ効果が現れるものがあり「カラーチェンジガーネット」と呼ばれます。カラーチェンジガーネットの色合いは産地によって様々です。
代表的な色の変化は太陽光や蛍光灯の下では青緑、青、灰緑に、白熱灯やロウソクの光の下では赤、赤紫、ピンクなどの色に変わります。
アレキサンドライトと同じ様に変わることから、「アレキタイプガーネット」と呼ばれることもあります。
さらに、1990年代後半に発見され、宝石業界に衝撃を与えた「ベキリーブルーガーネット」も変色効果を持ったガーネットになります。
マダガスカル南部のベキリー鉱山で産出されるガーネットにのみ、この名称が使われ自然光の下では青色に発色し、人工光の下ではあざやかなピンク色に変色します。
ガーネットに「青」の色はないとされていたため、この発見は非常に珍しく大きな話題となったのです。
カラーチェンジサファイア

世界三大宝石の一つ「サファイア」。宝石はよく知らないという方でも名前を聞いた事がある!というほど知名度の高いサファイアになりますが、カラーチェンジを持ったサファイアも存在しています。
一般的にサファイアというと、濃い青を想像する方がいらっしゃるかと思いますが、カラーチェンジサファイアは太陽光や蛍光灯の下では青色や緑がかった青色に、白熱灯やロウソクの光の下では紫色や赤紫色、赤色に見える事がございます。スリランカやタンザニアなどが主な産地として知られており、産地によって色の変化の仕方が異なります。
アレキサンドライトやガーネットよりも、硬度が高く傷つきにくい性質を持っておりますので、宝石を長く使いたいという方にもおすすめです。
カラーチェンジスピネル

8月の誕生石としても知られている「スピネル」。結晶が鋭く尖った八面体の形をしていることに由来して和名では「尖晶石(せんしょうせき)」と呼ばれます。
スピネルは、非常に多彩な色を持つことが大きな魅力ですが、その多彩故にかつてはルビーやサファイアといった他の宝石と混同されていました。
カラーチェンジスピネルは、太陽光や蛍光灯の下では青灰色、青みがかったすみれ色、灰緑色に、白熱灯やロウソクの光の下ではすみれ色、赤紫色、ピンク色に見える特徴がございます。
特に変色効果がはっきりしているものは稀少価値が高くなります。1ctを超えるものは特に希少になります。
主な産地としては、スリランカ、タンザニア、ミャンマーなどが知られており、こちらも産地によって違った雰囲気を楽しむ事ができます。
テネブレッセンス効果
テネブレッセンス効果とは?

「変色効果(カラーチェンジ)」を持った宝石の話で一緒にご紹介したいのがこの【テネブレッセンス効果】です。カラーチェンジは聞いた事があるという方でも、【テネブレッセンス効果】初めて聞く方も多いかもしれません。
「テネブレッセンス効果」は、簡単にご説明しますと紫外線を吸収して色が変化し、その後も色が変わる現象を指します。科学用語で「フォトクロミズム効果」とも呼ばれ、ライトの照射をやめても色の変化がしばらく石に残る光学効果です。
カラーチェンジガーネットやカラーチェンジサファイアのような変色効果は、光源(自然光と白熱灯など)の違いで即座に色が切り替わります。
これに対して、テネブレッセンス効果は、紫外線にさらされることでゆっくりと色が変化し、暗所で元の色に戻るのにも時間を要するという違いがあります。
テネブレッセンス効果は、繰り返し楽しむことができますが、熱を加えることによって永久に失われる可能性がありますので注意が必要です。
テネブレッセンス効果を持つ宝石

ハックマナイト
ラピスラズリを構成する鉱物の一つでもある、ソーダライト。「ハックマナイト」はその変種で、テネブレッセンス効果を持つ宝石として最もよく知られている例です。
産地によって色の変化の仕方が異なり、薄いピンクから桃色に変化するものや白色からラズベリーレッドに変化するもの、グレーから濃い紫色に変化するものなどがあります。
ハックマナイトはUVライトで色が濃くなり、LEDなどの強い白い光を当てると元に戻る面白い石でもありますので、宝石愛好家からも人気の高い宝石です。
スカポライト
黄色、紫、ピンク、黒など多様な色を持った宝石で、様々なアクセサリーに使われる事が多いです。
紫外線にさらされると無色から青色に変化するテネブレッセンス効果を示すものが見つかっており、こちらもテネブレッセンス効果を持つ宝石として注目されています。
しかし、コレクターに人気の石ですが、硬度が低いため、取り扱いには注意が必要です。
タグトゥパイト
ソーダライトと同族の鉱物で、特にピンク色の宝石として知られています。
紫外線を当てるとピンク色が濃くなるテネブレッセンス効果を持ち、濃い薔薇色は女性の人気が特に高い宝石になります。
宝石としてルースやビーズに加工されますが、希少なため、それほど多くは流通しておりませんので、中古市場では珍しい宝石として知られています。
燐光性(りんこうせい)
燐光性とは?

「テネブレッセンス効果」と時折混同されやすい性質が「燐光(りんこう)」です。
「テネブレッセンス効果」と「燐光性」の最も大きな違いは、色の変化(テネブレッセンス)か、光の放出(燐光)か、という点です。テネブレッセンスは色自体が可逆的に変化する現象ですが、燐光はエネルギーを蓄えて発光する現象です。
宝石として扱われるものの中には、燐光性を持つ天然石はほとんどありませんが、人工的に光るように作られた石や製品は多数存在します。
その為、非常に安価で販売されている燐光性を持った宝石が販売されていた場合は、合成石の可能性がございますので、間違えないように注意が必要になります。
燐光性を持った宝石

クンツァイト
20世紀初頭にアメリカ・カリフォルニア州で発見された透明感のある美しいライラックピンク色をした宝石です。
2021年からは9月の誕生石にもなっており、見る角度によって色が変化する「多色性」を持った珍しい宝石でもあるのです。
そんなクンツァイトは、リチウムを含むスポデューメン(リチア輝石)の一種で、光を吸収した後、しばらくの間、紫色や青みがかった光を放ちます。
キャンドルの光や夜の照明で美しく映えることから「夕べの宝石」とも呼ばれます。
しかし、クンツァイトは紫外線に弱いため、長時間強い光に当てると退色する可能性がある点に注意が必要になります。
ハックマナイト
ソーダライトと同族の鉱物で通常はカラーレス、白色、灰色、淡いピンク色などが特徴の宝石になります。
紫外線にさらされると、美しいヴァイオレットのカラーに変わる「テネブレッセンス効果」を持ちながら、テネブレッセンスによる色の変化が終了した後も、石の中に蓄えられた光が徐々に放出されることで、わずかに発光し続ける「燐光性」をも持ち合わせた非常に珍しい宝石になります。
モース硬度は5.5~6と比較的低く、取り扱いには注意をしなければならない宝石になりますが、美しい紫のカラーが人気の宝石になりますので一度は手にしたいと思う方が多い宝石になります。
ダイヤモンド
”宝石の王様”とも言われるダイヤモンド。私たちにもっとも身近な宝石と知られており、様々なアクセサリーに展開されています。さて、そんなダイヤモンドにも「燐光性」を持ち合わせたものがあるのをご存知でしょうか?
すべてのダイヤモンドが光るわけではありませんが、一部のダイヤモンドには燐光性を持つものがあります。
燐光性を持ち合わせたダイヤモンドとして有名なのが「ホープダイヤモンド」です。
アメリカのワシントンD.C.にあるスミソニアン博物館国立自然史博物館に収蔵されている、世界で最も有名な青いダイヤモンドとして知られており不幸を呼ぶ言い伝えから「呪いのダイヤモンド」と呼ばれることも。
そんなホープダイヤモンドは、紫外線を照射すると、光を消した後もしばらく赤く光る強い燐光を放つことで有名です。
美しいブルーのカラーから赤く光るとは驚く方も多いと思います。ぜひ機会があるなら見てみたいと思いますが、一体どんな光を見せてくれるのか興味がありますね。
まとめ
今回は光によって変わるカラーチェンジ宝石についてご紹介をさせていただきました。宝石によって様々なカラーがあり、同じカラーでも宝石によって全く違う印象を持つものが多くございます。
現在宝石は、物価の高騰や採掘量の減少によって、年々その価値や価格は高騰し続けています。その為、現在市場に流通している宝石よりも過去に採掘された宝石の方が高品質である場合も多く、高価買取のチャンスでもございます。
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